最終話
夢小説設定
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白雲の流れる薄蒼に、目を向ける。
この違和感に慣れるにはいくらか時がかかりそうだと、どこか、他人事のように思った。
「落ち着きませんね。」
「こうも空が近くては」と続いた声に、従者が膝をつく。
柔らかい動作でこちらに顔を向けた女性が、穏やかに微笑する。
「集会には母が。」
問いを先読みして口元を緩めるその様が、一時重なる。
供も連れず、気の向くままにこの世を歩いていた、その姿と。
「……私は、これを取りに参っただけ。」
白布から覗いた、目に痛いほどの真紅。
背けるようにした視線が、倒壊した天帝城と裸の木々にぶつかり、知らず顔を伏せた。
「咲いてこそ花…」
ぽつりと呟かれた言葉が、風に流れる。
「散ってなお、華……。」
愛おしむように鞘を撫でた崑崙の長姫の目が木々の間を彷徨い、ややあって細められる。
遠い蒼を行く、陽の欠片。
「時が廻れば、また逢い見えることもありましょう。」
今は届かぬその光に、希う。
願わくばいつか
いつか、また――