最終話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――あの日、天界中の桜はすべて散り落ちた。
まるで彼らの跡を追うかのように。
天帝の死、天帝城の崩壊、万年桜の散花。
それはもはや、この世の終焉とばかりに平穏に慣れきった人々は慌てふためき、天界中が騒然となった。
上層部もこの混乱に右往左往するばかりで、半分ほどに減った軍部はといえば斉天大聖の追跡どころか、全体の被害状況を把握する事さえもしばらくままならなかった。
「――以上が、全体の被害状況のまとめであります。」
「…尚謀反人・金蟬童子、楊焔珠、天蓬元帥、捲簾大将、四名の遺体ですが…ここ数日の捜索の結果該当区域のほぼ全域が焼損。加えて瓦礫等による損壊被害も甚大な事から、発見及び遺体の照合はほぼ不可能と見られます。」
隣席に座す蓉姫が、膝の上の刀をそっと撫でる。
「金蟬童子につきましては生存した兵の証言から次空ゲートの扉にて圧死した事がわかっており、そうなりますと、次空の捻れ現象により遺体は消滅した可能性が高いとのことです。」
遺体としてすらも堕ちずさぞかし悦に入っている、事だろう。
「残る謀反人は斉天大聖のみか……憐憫の情に触れる部分があるとはいえ、凄惨な行い自体は罰せられるべきものである。」
「次空ゲートの方はどうなっている?」
「はっ、取り急ぎゲートの発掘に務めた結果ゲートそのものの損壊は少なく、一時的な機能の復旧は完了しております。」
「では軍部は即刻、下界に逃亡した大罪人、斉天大聖の追跡にあたれ。」
「――は、」
戸惑うように視線を泳がせた男が、助けを求めるように傍らの同僚を見やる。
「それが……その…」