第壱話
夢小説設定
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「これはこれは、誰かと思えば。三の姫ではないか。」
『お久しぶりにございます、帝。』
袖を合わせて膝を折る、作法通りの会釈をすると、天帝の顔が綻ぶ。
「たった今、伯父上と話をしてきたところだ。相変わらずの偏屈っぷりで…ほとんど私が話していただけなわけなんだがな、はははは。」
とりあえず口元を緩めていると、そのすぐ後ろに控えている長身の男と目が合った。
「そう言えばそなた、まだ剣など振り回しているらしいな。」
『あ……はい。』
「お母上が嘆いておったぞ。もう幾つになる?そろそろ姉君たちを見習って落ち着かねばな。」
赤い瞳に、白い肌。
竜王四兄弟の末子か三男だったと思ったが、忘れてしまった。
上機嫌で話し続ける天帝の声を右から左で聞きながら、先ほど会った少年の姿を思い出す。
「まぁ最も、本当にそなたがどこぞの男に嫁ぐということにでもなれば私としても心中穏やかではなくなるかもしれんが……」
大きな金晴の眼に喜びを溢れさせながら話す様は、本当に可愛かった。
「まぁ、良き妻となり良き母となることが女人の幸せと言うものだからな。もしいい仲の男がいないのであればこの私がふさわしい相手を選び出し折り合いを……」
そうだ、折り紙。
今度行く時は折り紙とあと、画用紙にクレヨンを持っていってあげよう。
あとは…そうだ、先生の所に行こう。
あそこなら、あの子が喜びそうな本がもしかしたらあるかもしれない。
「崑崙の者は皆口を揃えてそなたが明王に一番良く似ているなどと言うが、私に言わせればそれよりもむしろ………焔珠?」
『帝はご存知ないかもしれませんが、あれで母上も伯父上に似ているところがあるのですよ?当家へお越しいただければ、きっとおわかりになられますわ。』
今にも抜けようとしていた言葉の群れの尻尾を捕まえて一気にそう言うと、赤い瞳がわずかに見張られる。
「そうか?いや、何を隠そう私も若い頃はお母上に言い寄っていた馬鹿者の一人でね。久しぶりに会いたくなってきたなぁ……よし、わかった!近々参ろう。」
『お待ちしております。』