第壱話
夢小説設定
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『こ、金蟬……』
長くて邪魔なだけの裾を持って小走りに行きながら名前を呼ぶと、その背がようやく止まる。
「ああ、悪い。」
『いえ、私もごめんなさい。こんなことならもっと軽装で来るべきでした……』
息が上がっているというわけではないが、動きにくくて敵わない。
「天帝城の奴らに見つかっちまってなきゃいいが。」
差し伸べてくれた手を掴み、段を昇る。
「後が面倒だ。」
『ねぇ、名は?』
眉を寄せた金蟬に、知らず笑みが浮かぶ。
『名は、もう決めたの?』
「まだだ。なかなか良いの…が……」
言葉を切った白い顔が、見ているうちに微かな朱に染まっていく。
「………どこまで行きやがった、あの猿。」
ふいっと顔を背けたと思ったらそんなことを言うものだから、ますますおかしくなる。
『……本当だったみたいね。』
「あ?」
目を瞬いてこちらを見つめるその顔に首を振った時角の扉が開き、小さな影がそこから出てくる。
「おい猿!!」
思わず首を竦め、耳を押さえた。