第十話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「~金蟬っ!!」
一段飛ばしで転がる様に駆け下りていく悟空に、手をついて咽ていたその顔が上がる。
「……ああ…なんとかな、怖かったか。」
ボロボロに爛れた掌を握って向けられた下手くそな笑みに、こっちの喉が鳴りそうになった。
「~あたりまえじゃんッ!!金蟬が落ちたらどうしようって、俺……ッ!!」
「…そりゃこっちの台詞だ。」
叫ぶように言った悟空の頭をくしゃくしゃにして立ち上がった金蟬の顔が、こちらを見てぎょっとする。
「――…」
何か言われる前に、薄すぎる胸板を叩いて顔を伏せた。
「………泣くな。」
『泣いてません!』
噛みつく様に言い、その手を取る。
『怪我は治せないの、気にしてるの知ってるでしょう――嫌味!?』
「いや…」
「捲簾、ちょっと。」
「どうした?」
愉快そうにこちらを見ていた捲簾がポケットに手を突っこんだまま振り向き、ひとつ間を置いて姿勢を低くする。
「通気口……こんな所に?」
金属音を響かせ、何度か呻いていた金網が後ろ側に倒れる。
『――外れましたね、行ってみます?』
「階段を下りても上っても、どのみち敵まみれですからね。」
膝をついて覗きこんでいた視線を横に流し、おどけるような色を浮かべる切れ長の目を見返す。
「――どこに出るかはお楽しみってな。」