第壱話
夢小説設定
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「…あのさ俺、まだ名前ないんだ。つけてくれる人とかいなかったしさ。」
膝を抱えるようにして顔を俯けるその様子に、目を瞬く。
「俺ってヘンなんだって、岩から生まれたから“イタンジ”なんだって。金色の眼は不吉だから、ここで“ホゴ”しとかなきゃいけないんだってゆってた。」
「ふーん…何かよくわかんねぇけどスゲーな。」
「へ?」
「お前は世界で一人っきゃいないんだろ?」
そう言うと、今度は相手が目を瞬かせた。
確かに、金晴色だ。
「お前の代わりはいないってことじゃん。それってスゲくない?」
「見つけましたよ、哪吒様ー!!」
「うわ!?」
「貴方という方は…悪ふざけが過ぎます!本館にお戻り下さい!!」
「あーわかったわかった。」
仕方無く腰を上げると、侍従がこれ見よがしにため息を吐く。
「――哪吒!!」
振り向くと、真っすぐにこちらを見る視線とぶつかった。
「なぁ、また…遊べる?」
「おーまたなッ」
「さぁ哪吒様、お早く。」
「……わかってる。」
ぱたんと閉じられた戸をもう一度だけ、振り返る。
「哪吒様。」
踏みだした足がなぜだか少し、軽かった。