第十話
夢小説設定
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顔をなで上げる生温かい臭気を、なぜか不快には思わなかった。
――まるで現実味のない風景
……だがそもそも俺は、今までにどれ程の実感を持って生きて来たというのか。
銃声が響き、壁が赤黒く濡れそぼる。
[死]という現実を初めて目の当たりにした今――
握った小さな手と駆ける足に、力を込める。
俺は、生きようとしている。
「――昇降機か?」
「来んのは初めてか。」
『ええ』
そう答えながら顔に落ちかかる髪をかきあげ、目が合うと、額に汗を浮かべた顔が綻ぶ。
幼い頃に戻ったかのようなその笑みに、知らず口元が緩んだ。
「ゲートのある最下層までのルートはここだけなんです――下がって!」
「謀叛人ども覚悟オオ!!」
左右に割れた扉から駆け出てきた兵士に、焔が飛びこむ。
体を起こしながら両手で握った緋炎を、真下から斬り上げる。
「ぐはッ」
「がはッ」
「――乗り込め!!」
銃声が鳴り響く中、悟空を引きずるようにして昇降機の中に入る。
「うわッ」
天蓬が壁のボタンに拳を叩きつけ、追いすがってきた兵の顔面にその靴底が強制退去を命じた。
「――さて、心の準備はいいですか?捲簾」
「今更だろーが……」