第九話
夢小説設定
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円形の室内の二階回廊にずらりと並んだ射手は、ざっと見てこちらの六倍程だろうか。
「―――な……」
緋炎の柄頭に添えようとした手が強い力で制され、思わず振り仰いだ顔は真っ直ぐに正面を見上げていた。
「…さすが、抜け目ないですね。西方軍第二小隊長――円雷。」
「貴殿に評価頂けるとは光栄ですな、天蓬元帥。」
「今は名もなき逃亡者ですよ、元帥の任も降りましたしね。」
その言葉に唇の方端をつり上げてみせた男に、眉根を寄せる。
「円雷――俺の前に第一小隊の隊長だった男だ。天蓬とソリが合わないってんで別隊に移ったらしい。」
「――では、覚悟はできているという事で?」
「まだだ…って言ったら見逃してくれたりするんですか?」
穏やかな双眼に閃いた鋭さを認めた筈の円雷が、目を窄めた。
「…相変わらずお巫山戯の過ぎる方だ。貴殿のような者に付き従う輩の気が知れんと思っていたが…」
隣の捲簾から伝わってくる微かな気配に知らず、口元が笑みの形になる。
「何の事はない、巫山戯た者同士気が合ったという事か。上がそんなでは、たった14名の兵しか付かんのも頷ける。」
「――俺らをどう言おうが構わねーがな、ウチの隊員らを馬鹿にするようなら黙っちゃいねえぞ。」
「ほう……ではどうすると?」
獰猛な笑みを受け流した円雷の顔に浮かんでいるのは、昏い笑み。
「このような状況下でよく強がりを言えたものだ。」
「――止まらずに駆け抜けて下さい。」
短い指示に、金蟬が首を傾ける。
「貴殿らに相応しい姿にして差し上げよう、不浄の――そうハリネズミに。」
『――走って!!!』