第九話
夢小説設定
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『ここ――!』
「どこだ?」
重厚な音と共に開いた扉の奥へと、歩を進める。
「天帝城内の書庫だよ。」
「あの棟の地下がこんな所に繋がっていたとはな……」
落ちかかってくるのではないかと思わせる程の本の山に、焔珠が小さく感嘆の声を漏らす。
「便利でしょう?軍の召集がかかってもすぐに城まで出られるんです。それにこの隠し通路を使えば――ここの本借り放題ですしね♡」
「返さないのを借りるとは言わねえんだぞ。」
素直な称賛と納得を込めて子どもじみた自満話を聞く二人を横目に突っ込み、向き直る。
「――あんたとはここでお別れだ。」
突きつけていた銃を肩に置きながらそう告げると、敖潤が顔だけ振り向かせた。
「…どうするつもりだ?」
「ま、悪ィがしばらくここで助けでも待っててくれ。」
「こんな事に巻き込んで申し訳ありませんでした…しかし僕らの謀叛が上官である貴方とは無関係だと印象づけておく必要がありましたから。」
「世話になったな……行くぞ。」
「――ならば報告を。」
背中にかけられた声に踵を返し、腕を掲げる。
「天界西方軍第一小隊元帥・天蓬」
「同じく大将・捲簾」
「我ら両名只今をもちまして現職を辞し、すべての任および原隊より離脱いたします。」
こんな風に正面から見返すのは初めてだと、今になって思いいたる。
その両眼に何かを見出す前に身を翻したのは多分、同時だった。
「どっちが引いても、恨みっこなしと言うことで。」
「……おう。」