第九話
夢小説設定
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「準備は整いました。」
その言葉に、杖に預けていた顔を上げる。
「………うむ。」
観世音菩薩の居城へと差し向けた兵からは何の報告も無く、百虎門は閉ざされた。
愚かな身内と厄介事はまとめて締め出してしまおうとでも考えたのだろうか。
益体も無いことに頭を巡らせていることに気づき、内心で苦笑する。
わかるわけが、ないのだ。
「――突撃せよ!!」
喚声をあげながら駆け出していく兵たちの背に、声を張り上げる。
「よいか皆の者、謀叛人どもを一匹たりとも取り逃がすな!!」
西南棟扉に張り付き、手にした武器で打ち始めた彼らは最早兵というよりも、暴徒に近いだろう。
「鼠はたかが四匹、大勢の人質をかかえ身動きできる筈もないわ!!」
最前の兵たちの動きが停滞するのを見て、眉根を寄せる。
「李塔天様」
やはりそう、馬鹿ではない。
「城内の人質をあらかた保護いたしました!!謀叛人どもの姿はまだ確認できておりません。」
「そうか」
頷いて視線をやると、控えていた兵たちがそれぞれ手にしたものを松明に翳す。
「――火を放て。」
赤を纏って夜風を切った矢が、我先にと窓を割って棟内に入り込んでいく。
「奴らは不浄の者ども、例え殺めたとしても天の意に背きはせぬ!!」
瞬く間に吹きあがった炎と黒煙に、知らず喉が鳴った。
「――そうだ…殺せ、殺すのだ……!!」