第八話
夢小説設定
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髪を揺らす風が、心地良い。
「――本当はね、なんだっていいんです。」
なんだって
「憶えていてくれるならどんな事だって。」
どんな、事だって。
「…………さいですか。」
苦笑混じりの軽口に、微笑む。
「さいなんです。」
窓外に向き直って見た闇は未だ濃く、深い色をしている。
「恥ずかしついでにもうひとつ、良いですか?」
「……何だよ?」
「焔珠のこと、好きですか?」
「てめぇには負けるけどな。」
間髪入れずに返ってきた答えに、煙を吐く。
「自分で言うのもなんですが、そう思います。」
「………うるせえよ。」
少しの間を挟んできた悪態に、目を閉じる。
ややあって動いた空気を追いかけるように振り向くと、捲簾の向こうにその姿が見えた。
『すみません、お邪魔でした?』
荒っぽく頭を撫でられた焔珠が、くすぐったそうな顔をして笑い混じりに問いかける。
『捲簾?』
後ろ手を振って出ていくその背を見送りながら、煙草の火を消した。