第6話 Misty
夢小説設定
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『悟浄さん…』
視線で問いかけてくるのに、首を振る。
「ダメだわ、スゲー霧で。この辺一帯捜したけどよ。」
『そうですか』と微かに顔を曇らせた春炯に、三蔵が溜め息を吐いて眼鏡を外す。
「捜…したって何を…!悟空は…?悟空がどうかしたんですか!?」
「何お前言ってなかったの?」
「黙れ。」
『八戒さんが倒れた後、一人で水を取りに行って…』
「消えた。ジープごとな。」
後を引き取って簡潔に告げた三蔵に、その顔が時を止めたように固まる。
「――ッ!?」
シーツを跳ね除けるようにして起き上がろうとするのを見てとり、その頭をわし掴んで押し付ける。
「だからここにいろっての!奴の狙いはお前なんだからよ。」
「これ以上僕のせいで誰かが傷つくのを見てろって言うんですか!!」
「――”無一物”という言葉がある。禅道の教えのひとつだ。」
声音と同じくらいの鋭さでもって向けられていた視線が勢いを削がれて、低い声のした方へと泳ぐ。
「仏に逢えば仏を殺せ、祖に逢えば祖を殺せ。何物にも捕らわれず縛られず、ただ在るがままに己を生きる事…先代が俺に説き継がせたのはそれだけだ。」
伏せられていた瞼の下から現れる、射抜くような紫暗。
「だから俺は殺し続ける。俺の行く手を阻む全ての物を。」
およそ僧侶とは思えないその発言に口の端で哂いながら、タバコを取り出す。
「それが誰の敵であれ、同じ事だ。」