第6話 Misty
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ただいまー。」
「遅くなってごめん」と続けながら、ドアノブを捻る。
今にして思えば、もう夜にさしかかろうかというあの時間に明りひとつ点いてない窓を目にした時点で異常を、感じ取るべきだったのだろう。
「生徒達と遊んでたんだけど、なかなか終わらなくてさ…」
開いたドアの向こうに広がっていた闇に瞬き、「――花喃?」とその名を口にした目に飛び込んできた惨状と言っていい程に荒らされた部屋。
「――仕方ない…仕方なかったんだよ!!」
動揺も露に泣き叫ぶ妻の肩を支えた男が、顔を歪めてそう告げた。
「花喃を差し出さなければ、ウチの娘が連れてかれてたんだ!!あんたも知ってるだろう!”女狩り”の百眼魔王の一族がこの町に来たんだよ!」
「………」
拾い上げた見覚えのある、懐中時計。
鎖は切れ、硝子盤に亀裂が入った時計の針が指し示しているのは1時23分。
「…それで花喃を身代わりに…?」
奇妙に静かな自分の声が、大して広くもない部屋に奇妙に木霊す。
「ああそうさ!!」
染みるように意識を支配していく激情は、不思議と
「俺の大事な娘をあんな化け物にやってたまるか!!親もいないあんた達には分からないだろうがな…!!」
凪のように音もなく
それでいて全てを、奪うように。