序章 Go to the West
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――殺すぞ殺すぞって、そればっかり。
そう言うと、不機嫌な顔がますますその色を濃くする。
――……お前には言ってねえだろうが。
私はなんと、言ったのだっけ。
ああ、そうだ。
――つまらないわ。
確かそう言った。
あの人の紫紺と言うには透明すぎる瞳が微かに揺れたことも、覚えている。
そう言えばもう随分、顔を合わせていない。
『……大きく、なったんだろうな。』
そう呟いた時、ふと、桜の花びらが目の前を過った。
咄嗟に差し伸べた手をするりと交わしたそれに、手を伸ばす。
ぎゅっと握り締めた掌をゆっくりと、開けば。
後ろから吹いてきた風に乗せた淡い色が沈む赤に溶けていくのを見送って、延びをする。
『~っ、さてと』
フードを被ってゴーグルを上げ、ハンドルに手をかけるとバイクのエンジンが、嬉しそうに唸る。
本当を言うと
一人旅は、好きではないから。
本音を言えば
会いたいから。
早く
『行こうか。』