序章 Go to the West
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「綺麗な空だな。」
『そうですね。』
「…昨日はすげぇ雨だったのにな。」
『そうですね。』
「……あ、鳥。」
『そうですね。』
「………」
『………』
頬を引き攣らせて横向く自分に、隣に控えている二郎神が身を強張らせるのがわかった。
「……てめェ、天下の観音様に向かってイイ度胸じゃねェか。」
『そうですね。』
何を言う間も与えずすっくと立ち上がった女が、何段あるのか数える気すら失せる階段の始まりに、足をかける。
「焔…春炯殿!」と呼びかけた二郎を制し、自分も腰を上げる。
足を止めるどころか、振り向く気配すらない後姿に踵を返しかけた、時。
横から吹いてきた風と同じ様な強度でもってかけられた声に滑稽なほど慌てて向き直って目にした、その、貌に
『見送り、有難う。』
柄にもなく緩みかけた口元を隠すように手を上げて頬をかいた筈、だったのに。
「…………二郎。」
「…は、何でございましょう?」
「笑ってんじゃねェ。」