第4話 Overlap each other
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「――ッ…」
思わず手放してしまった箒を拾い上げようと、腰を屈めた時。
漂ってきた紫煙の先。
葉を散らした木の向こうに、自分のそれよりも柔らかく光を弾く金色が見えた。
「…そーゆー物はもっと人目につかない所で吸ったらどうです?」
「いやあ、秋空があんまり綺麗なもので。」
…この人は。
「全然カンケーないんですけど。」
「火事には気をつけてるんで大丈夫ですよ。」
のほほんと告げる師の横顔から視線を外すと、冷たい風が波がさざめくような音をたてて吹いた。
波の音なんて聞いたことがないのにそう、思った。
「どうせなら全部燃しちゃってください。掃く手間が省ける。」
「河流れの江流――ですか。」
「!」
後ろ頭を搔いていた手を止め、口を噤む。
「無粋な字がついてしまいましたね。まあ、そんな僧徒とは名ばかりの連中とうちとけろとはいいませんけど。」
「何とも思っちゃいませんよ。そのくらいのこと慣れてるし。――それにこの名前だって」
”江流”――その言葉は、揚子江という大河を意味する。
雄大で荘厳なあの姿を準えたのなら、悪くもない。
「正直、嫌いじゃないから。」