第38話 Be lackig
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「……ふー…」
いい加減に顔の水を拭って、どさりと腰を下ろす。
向かいで同じように水を両手で掬って、唇をつけていた春炯が目が合った瞬間、小さく吹き出す。
「……なんだよ?」
『…ううん。髭がね、やっぱり見慣れなくて』
堪えきれないといった風にくすくす笑うのに、ざらつく顎を撫でる。
「…男前が上がったろォが」
『評価の分かれるところではあるかもね。』
生い茂った木々の間を縫って時折、鳥の声が耳に届く。
見上げれば太陽はすでに中天に近い所にまで登ってきていて、町を出て半日近い時間が経過している事を示していた。
「しっかしこの山がこんなんだったとはな。入口はそーでもなかったのによ」
『まぁ、私たちが入ってきた事には気がついてるってコトじゃないかしら。』
あっけらかんと言って立ち上がり、手の甲で額の汗を拭ったその目がこちらを見下ろす。
『私たちがある程度近づくまでは、仕掛けてこないと思うけど…』
立ち上がり、新しい煙草を取り出すが、咥えるだけに止めて小さな流れを跨いだ。
『用心してね……はー、暑…』
器用に髪をまとめなおし、歩き出すのを追って踏み出す。
「つーかさァ、夕べ…てか昨日?お前につけられてンの全然気がつかなかったんだけど」
『…つけてはないからね。目的地は分かってるんだから、その必要ないでしょ。』
「……さいですか。」
燦燦と降ってくる光は影も飛ばす程で、自然口数が少なくなる。
「腹減った……」
『悟空みたいなこと言わないで…』
それでもたまに交わす会話と視線だけは案外と心地が良くて、知らず苦笑する。
『何笑ってるの…』
「…いンや、別にー」
靴底で踏みつける砂利の感触を感じながら、聳える幹を仰ぐ。
アイツ等は今頃、どうしているだろうか。
『…変なヒト。』