第38話 Be lackig
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「…は~食ったぁ~!!こんなゆっくり食ったの久しぶりだー」
「争う相手がいませんからね。」
しん…と落ちた沈黙に、それを作り出した当の本人がお茶を啜る音が響く。
「…そーいえばさァ、紅孩児どうしただろーな。」
「経文を集めていると仰ってましたよね…もしもあの[カミサマ]という男が本物の三蔵法師だとしたら、やはり経文を所持しているという事ですよね?」
八戒の疑問に、口を開く。
「天地開元経文は全部で5つ。その内のふたつは俺が受けついだ物だ。三蔵法師の一人は砂漠のサソリ妖怪に喰われたらしいから、俺の他に本物の[三蔵]が一人ないし二人はいる事になる。」
「他の三蔵の事ってなんも知らねーの?」
「三蔵法師組合とかないんですか?」
「ねぇよ。」
即座に否定してふと、脳裏を朧げな記憶が過る。
……そういえば、10年以上前に一度だけ――
冬枯れた木々の立ち並ぶ、手入れの行き届いた境内。
低い位置から見上げるその後姿の、向こう。
一時、金山寺を訪れた別の三蔵法師がお師匠様と逢っていた。
うっすらと憶えているのは、そいつの卑しく歪んだ口元とそれから…
――それから……何だ?
「…三蔵?」
「どうかしましたか?」と問うてくる八戒に、緩く首を振る。
「――いや別に…」
……何だ?今
何か思い出しかけた。
あの三蔵法師を不快だと思ったその理由――
辿り着けない答えを持て余しながら、煙草を咥えて袂を探る。
「…おいライター……」
はた、と動きを止めて視線を上げて見えた光景に、反射的にこめかみがひくつく。
「……チッ」
苛立ちに任せて折った煙草を投げ捨て、席を立った。