第38話 Be lackig
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おや、1人かい今日は」
人の良さそうなマスターの問いに、口の端だけで笑ってスツールに腰掛ける。
「こないだと同じの貰っていい?」
灰皿を置いたその手が、次いでウィスキーの並ぶ棚から迷いなく1本を選び取る。
ロックグラスに注がれる琥珀色の液体を一口口に含んだ時、カロンと音がして、マスターの目がドアへと向く。
誰に聞かれるワケでもないと、込み上げてくるままに息を吐いた。
昨日からほぼ歩きっぱなしの足が、重い。
「………」
振り払うように頭を軽く振った時、カウンターに置かれた白い指先が目に入る。
『ここ、いいかしら?』
「――…!?」
『…そんな幽霊でも見たような顔しないでよ。』
困ったような笑みを浮かべてこちらを見下ろす、見知ったその貌。
「っなんで――!?」
「お連れさんかい?」
自分の大声に集まった視線を散らすように、自然なトーンの声が割り入る。
『彼と同じものを、頂けますか?』
フードの下から現れた女の造作にひとつ瞬きをしたマスターが、ややあってハッとしたようにグラスを取りに向かうのを見送り、口を開く。
「……なんでお前まで戻ってきた…!」
『何故かですって?』
はあ、と息を吐いた春炯が、呆れたようにこちらを見る。
『単独行動は可能な限り避けるよう、三蔵から言われているでしょう。』
「じゃなくて…!」
低い声で舌打ち交じりに吐き捨てると、小さな顔の中で柳眉が顰められる。
『…あのカミサマという男、貴方1人で倒せるとでも?』
「お前なあッ!」
「おいおい、穏やかじゃないな。」
声を荒げて細い腕を掴んだ瞬間、横から声がかかる。
「痴話喧嘩なら上でやっとくれ。」
眉を顰めたマスターが指し示す方に目を向けると、掴んでいた手が逆に取られる。
『すみません。すぐに戻りますので。』