第36話 Wish
夢小説設定
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「…ったくよー」
がっしゃがっしゃと両手の荷物は、それなりに重い。
「何でオレがこんなコトしなきゃなんねーんだ!?」
早々に欲望に負けて距離を詰め過ぎたせいで、春炯に張られたというか殴られた頬も痛い。
すぐ暴力に訴えるという部分では、実は三蔵と大差ない。
銃でないだけまだマシなのだが、確実にあててくるというところで言えば完全に春炯の方が上だ。
代わりにと道行く女達に目を向けてはみているが、みなこちらをろくに見もしない。
「こんなん抱えてちゃ、引っかかるモンも引っかかんねえって――あ?」
「ぶつかったせいで俺の靴が汚れたっつってんだよ!!」
「べんしょーしろってゆってんだろ!」
「そんな小ギレイな服着てんだ。サツの1枚や2枚持って…ぶッ
「あ…が」
「どこ行ってもこーゆーバカが居るんだよな。みっともないっしょお兄ちゃん達―?」
蹴り倒した背を靴裏で踏みながら除くと、その向こうから小さな頭が覗く。
「あ……」
大きな瞳に浮かんだ戸惑いを見ながら、肩を落とした。
「…何だガキかァ。美人の姉ちゃんならお礼のちゅーくらいしてもらったんだけどな。」
「――おいっ!!何なんだテメェ、ブッ殺すぞ!!」
「へぇ?」
「オレは今、そーぜつに機嫌が悪い。先に言っとくかんな。」
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「――ほらよ。」
「あ…ありがとう。」
缶ジュースを受け取ったガキが、嬉しそうな声を上げた。
「飲んだらさっさと行けよ。そんないいナリしてっとまたあーゆー輩にからまれるぞ。それともママとはぐれたってか?」
自分も同じものを傾けながら、その隣に腰を下ろす。
「ううん。父さんも母さんも、死んじゃったから。」
育ちの良さそうな顔立ちが、さして何の感慨もないように告げる。
「――お前、ひとりなのか?」
問いかけに横向いたその目が、笑み崩れた。
「弟がいるよ、双子の」