第35話 華焔の残夢4
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更に強い暗示をかけられた悟空が、大上段に如意棒を振り下ろす。
「~またオレかよっ!?」
息吐く間もなく繰り出された拳を屈んで避け、右足でその足を払いのける。
悟空が態勢を崩した先に、春炯の側まで下がる。
『何か恨まれるような事でもしたんじゃない?』
笑い交じりに言うのを見下ろすと、反してその横顔は常より硬い。
悟空が土を蹴って向かう先には、三蔵がいる。
一瞬ごとに縮まる距離にも動く気配のないのに舌打ち、足を踏み出す。
「三蔵っ」
八戒が腕を引くのと同時に、間に割り込んで悟空の拳を受け止めて蹴り上げる。
衝撃をいなすように後方へと跳躍した悟空が再び、芙蓉の元へと戻った。
「三蔵、戦う気がないのなら下がってて下さい!」
『そうも言ってられないんじゃないかしら。悟空を元に戻すのは、三蔵にしか出来ないと思うわ。』
「僕もそう思いますけど、前回あんな事があったばかりですから…」
眉根を提げた八戒の言に、三蔵を見やった春炯の顔に少しばかり責める様な色が浮かぶ。
「ごちゃごちゃうるせえな。アイツに殺せると思うか?この俺を。」
何を考えてか、言って三蔵が手近な大木の幹に背を預ける。
如意棒を携えて地を蹴った悟空を見てとった八戒が動こうとするのを遮るように、立ち位置をずらす。
「…水差すのはよしとこーぜ。」
無言の非難を受け流しながら移した視線の先で、あっという間に間合いを詰めた悟空が力任せに如意棒を振り下ろす。
空を奔った紅が、三蔵の左肩に届くその
「悟空」
刹那。
「伯葉!人間の話など聞いては駄目!!殺しなさいッ」
振り上げた腕を下ろせない悟空が苦し気に目を瞑り、跳び退る。
「殺しなさいッ!!
再び三蔵に向かって突進した身体が跳躍し、渾身の力で振り下ろされるのを紫暗の双眸が、瞬きもせずに。
『っ』