第35話 華焔の残夢4
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支度を終えてリビングへと続く扉を開けると、耶昂を抱えた莉炯が待っていた。
後ろから来る春炯を見とめた耶昂が、きゃっきゃと高い声を出して腕を伸ばす。
『悟空と、森にいる妖怪を何とかしたらこの町を通らない迂回路を行くわ。』
「お世話になりました。悟空の分も、合わせて。」
『本当にありがとう。』
二人して頭を下げると、莉炯がぶんぶんと首を振って頭を下げる。
「私の方こそ、色々とありがとうございました…」
物問いたげな大きな瞳に見上げられ、見つめ返す。
「八戒さん、ひとつ、いいですか?」
「ええ、勿論。」
僅かに身を乗り出す姿に何事かと思いながら、首肯する。
「悟浄さんの事、好きですか?」
ひとつ瞬き、もう一度。
「ええ、好きですよ。」
言い切ると、少し離れたところにいる悟浄がバツが悪そうに目を逸らした。
「春炯さん」
『私も好きよ。』
照らいなく言うのに尚の事居心地の悪そうにするその横で、銜え煙草の三蔵が面白くなさそうに眉を顰めるのが見えた。
「悟浄さん」
そう真剣な声音で呼びかけた莉炯が、耶昂を抱く腕にぎゅっと力を込める。
「幸せですか?」
「は?」
「貴方は今、幸せですか?」
祈るような、縋るような眼差しを向けられた悟浄に考えるより先に、口が開く。
「…悟浄?」
彷徨うように向けられた紅の眼に、自分と隣の春炯はどう、映ったのか。
「…足らん頭でどれだけ考えた所で時間の無駄だ。カンで選べ。」
「悟空と一緒にすんなっ……て…」
ああ自分も
どちらかと言えば。