第35話 華焔の残夢4
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「支度とやらはできたんだろうな?」
ノックもなしに扉が開き、否と言う言葉を許さない問いが投げかけられる。
予想外に早い登場に、並んでベッドに腰掛けたまま振り向いた悟浄と八戒が半瞬固まる。
室内を一瞥すれば、出来ていない事は一目瞭然なのだけれど。
と、見ている間に三蔵の片方の眉が僅かに持ち上がる。
「三蔵、悟空を連れ戻した後のルートなんですけど……」
八戒が慌てて地図を取り出して立ち上がるのを見てとり、悟浄とほぼ同時に動き出す。
見え透いた時間稼ぎではあるけれど、旅のルートの事を持ち出されれば聞かざるを得ない。
心の内で八戒に感謝しつつ、その横を通り過ぎたところで名を呼ばれ振り返る。
「表のアレは、もういいのか。」
『うん』
無言で再び八戒との会話に戻るのに、踵を返す。
「ここでこれだけの騒ぎを起こした訳ですし、やっぱり一旦森の向こう側に出て迂回路を行った方が良いと思うんですけど…」
なかなかどうして目ざといのはさておき、意外と情があるのだなと少し笑った。
何故、西に往くのか。
ひとつだった理由が、増えていく。