第35話 華焔の残夢4
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アイツ等…
3人が消えていったドアを睨みつける。
わざとらしいまでのあの態度に、押しつけられたモノを横目に椅子を引く。
「…なぜ、[禁忌]なの……?」
ポツリと零れた問いを聞きながら、腰を下ろす。
「どんな理由があるの…?」
妖怪が人を襲うようになった昨今となれば別だが、ほんの1年程前までは種族を越えて共に生活をしていたのだ。
心から惹かれる相手が異種族である確率は皆無ではない。
「何が起こるか分からないからだと言われている。」
「…なに、それ……?」
「言い伝えや迷信なんて、そんなものだ。」
数多くある人間の取り決めの内、禁ずるに値する行為はごく稀だ。
本当に危険なのは、どうでも良い行為と、本当に避けなければならない行為が迷信という名の元に混同され、同一視されている事。
[科学と妖術の合成]と[人間と妖怪の交配]は共に相容れぬものとして、禁断とされてきた。
今、自分の側にはその両方が在るが、とてもではないが危険度という意味において同一視出来るものではない。
「耶昂は、生まれてきちゃ…いけなかったの?」
「それは、10年後に耶昂の側にいる相手にする質問だろうな。誰か一人でもいい…耶昂を必要とする者がいるのなら恐らく、それだけで生きる事は許される。」
「じゃあ悟浄さんは?」
「…俺にはそれ程害がないから放っている。それだけだ。」
「…俺には、って?」
思ってもいない方向に話を持っていかれ、少しだけ考えながら口を開く。
「…アイツは18禁指定生物だ。」
「なにそれ。」
くすり、と今日初めて、莉炯の顔に笑みが覗くのを見て息を吐く。
「それに、アイツに許しなんてものは、必要ない。」
悟浄に限らず、悟空にも八戒にも、無論春炯にも自分にも。
許されようが許されまいが、こうして今、生きている。
「…………そうですね。」
振ってきた同意を見上げると、視線がかち合う。
ふ、と微笑んだ莉炯は成程、確かに[女]で、更に[母親]なのだろう。