第35話 華焔の残夢4
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「嘘だ。」
真っすぐに見下ろすと、大きな瞳に自分が映る。
「そんな生臭ボーズの言うコトなんざ、嘘っぱちだ。」
確かに
三蔵の言ったように、どんな言葉で取り繕ったとしても結局のところ変わりはない。
でも
それでもと誰に対してなのか、何に対してなのか分からない後悔は消えない。
でも
「紅の髪と、眼を持つのは全員妖怪と人間の混血児。――禁忌の子供だ。」
真実を知る事は、これからを考える材料になる。
食い入るように見つめられ、困って笑う。
「…全…員……?」
頷く動作で、肩口を滑り落ちた紅の髪。
言葉なく、ただ呆然と見返してくる莉炯に、口を開いた。
「自分に最善の道を選べ。耶昂を捨てたって、誰もお前を責めない。耶昂だって、恨んだりはしないさ。多分な。」
「悟浄…さん?」
「こーなったら、急いだ方がいーんじゃねェ?三蔵。」
「お前に言わるまでもねーよ。」
「と、ゆーワケで支度するぞ八戒!春炯」
「はい?」
『え?』
二人の二の腕を掴み、反論の間を与えずかれこれ3日を過ごした部屋へと引っ張っていく。
扉を閉めたところで、ぱっと掌を上向ける。
「…いいんですか?」
問うてくる八戒の横を通り抜けながら、ベッド横へと向かう。
「何がー?」
『三蔵に任せて良かったの?』
「もし莉炯になんかあったら、お前らも同罪だろ。オレ、そんなに強く掴んでないし。」
「…僕はいいんです。三蔵の事を信用してますから。」
「オレだって、それなりに信用してるぜ?」
何も立ち話をする事もないと思ったのか、八戒が小さく笑みを浮かべてベッドに腰掛ける。
と目をやった先で柔らかい色をした黒が、ふっと解れた。
『愛されてるのね。』