第35話 華焔の残夢4
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「…昔聞いた事を思い出したぜ。」
「紅い髪と眼を持つガキは、禁忌とされる人間と妖怪の混血児だ…」
「そのガキも…大きくなったら人間を……俺達を襲うようになるって事か?」
「大体、森の妖怪に人質として出したはずのガキが何故まだここにいるんだ――」
「今度は、あの妖怪がここを襲いに来るんじゃ!?」
耳に届いた声に、僅かに足の向きを変える。
八戒が莉炯の肩を抱くようにして屋内へと向かい、耶昂を抱いた春炯が続く。
「逃げたぞ!」
「耶昂を森へ!莉炯も一緒にだ――」
「馬鹿か、お前ら」
隣から向けられる視線に、内心で息を吐く。
……どいつもこいつも
「…紅い髪、紅い眼を持つ者全員が混血児なワケないだろ。」
「これでも一応最高僧、玄奘三蔵サマのお言葉だぜ?」
黙り込んだ群れの中に昨日酒場で見た顔を見つけ、そいつに向けて再び口を開く。
「そっちが手出ししないのなら、このまま大人しく出ていく。」
「………莉炯…いや、あのガキの話は本当なんだろうな?禁忌の子どもではないと…」
「ああ。」
「信用出来ない。お前みたいなのが、最高僧だと?」
「ま、信用しろってほーが無理だよな。」
鼻で笑って言うのに眉を顰め、睨みつける。
「…悟浄、貴様どっちの味方だ?」
「コイツが本当にエライ僧侶だって証拠を見せれば納得すんだろ?じゃー…そーねー……アンタ等をビビらせてるあの森の妖怪を、こちらにおわす玄奘三蔵サマがその偉大なる法力で退治する!…ってのは?」
どよめきにも似たざわめきが、広がっていく。
期待に不安、猜疑にと様々好き勝手に押し付けてくるのにいちいち辟易するべき神経は最早、鈍っている。
「本当に出来るのか?」
「……それで納得するんだな?」
「………ああ。」
元より選択肢のないのはオレの方だというのに。
「――じゃ、商談成立ってコトで!お引き取り願おーか。」