第35話 華焔の残夢4
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
春炯の声に振り向いた時にはもう、耶昂が浅黒い腕に掴まれていた。
「何するのっ!」
取り戻そうと身を乗り出した莉炯に背を向けたソイツがこちらに向き直り、高々と腕を掲げる。
「こんなトコにも禁忌を犯したバカがいるらしいぜ!見ろよ!!この混血児!」
その場の動きが止まり、莉炯がひとつ瞬く。
コン ケツ ジ
その唇が微かに動くのが見え、何かから身を守るようにその両腕が自身に引き寄せられる。
「どんな気分だった?妖怪のガキを生むのはよ!なんなら俺のガキも生むか!?まだ人間の女ト――
至近から放たれた弾丸が大口を開けた男の口腔を穿ち、その頭蓋を半ば消失させる。
重力に従って倒れる体から、取り戻した耶昂をどうするか躊躇うように一瞬だけ春炯の動きが止まる。
『立って、莉炯!』
伸ばされた腕に、腰を落としていた莉炯が半ば無理矢理に引っ張り起されるのを見て、短く息を吐き出す。
「………」
眼前に立ち並ぶ数人を見やり、錫杖を凪ぐ。
空気が唸る刹那、息の仕方を忘れた。
**********
唐突に訪れた静寂に、子どもの泣き声が響き渡る。
倒壊した家々に、そこかしこから上がる噴煙。
辺りに充満する血の匂いに、呆然としていた大人達の焦点がややあって、定まり始める。
「――っで、出ていけ…!」
震える声と共に向けられた憎悪を、見返す。
「お前達のせいだ」
「出ていけ!!」
「出ていけ!!」
「――でも!この人達がいなかったら…もっと…もっと被害が広がっていたはずよ!」
気丈に声を大きくした莉炯が、次の瞬間怯えたように身を縮める。
「お前はコイツ等の…いや、妖怪の仲間なんだろう!」
「そうだ!そのガキが証拠だ!!」
悪意から護るように耶昂を抱く腕に力を込めた春炯が、『三蔵』と短く呼んだ。