第34話 華焔の残夢3
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逆さまにこちらを見上げる顔と多分、自分の顔にも
浮かぶ驚きの前までそこに在った、口にしていた台詞とは一致しない、無表情にも近いらしくもない真剣な眼差し。
…気色悪ィな
そう思いながら見ていると、刹那の決まり悪そうな様を経た後いつのもの掴みどころのないふざけた笑みがその顔に浮かんだ。
「……3分だ。」
告げると、軽い笑みが空気を揺らすのを感じて眉根を寄せる。
「莉炯のコトなんだけどさ。耶昂が禁忌のガキだって気づいてねェよな?」
当初、莉炯と血の繋がりのない義兄が妖怪なのかと思っていた。
だが彼女の話からすると、耶昂の両親は共に人間だ。
そこにどんな経緯があったのか知らないが、当事者たちが土の下では語らせる術もない。
「教えなくていいのかよ?」
「…教える?耶昂は義兄のガキではなく、どこの誰かは知らんが妖怪とのガキだと?」
「お前なァ…」
多分に非難の含まれた、ため息交じりの声に枕の位置を直す。
「言葉取り繕ってどうにかなる問題でもないと思うが。」
「にしたってもうちっと言い方ってモンがあんだろ。」
「言い方気にするくらいなら、言わなきゃいいんじゃねェか?」
「じゃ血の繋がりも薄い、何より厄介ごと背折ったガキの面倒一生莉炯に見させんのかよ?」
話の行き先が分からず、背後を振り返る。
「…お前のその薄っぺらな罪悪感は誰に向けられてるんだ?」
莉炯だと言い切ることも出来ないザマに鼻を鳴らし、「3分経ったな」と再び枕に頬をつける。
「まだ2分30秒だって。大体オチがまだだろが。」
「知るか、ンなもん。」
吐き捨てる様に言うと、背後の気配がようやく遠のいていく。
暗闇の縁から感覚が揺らぎかけた時、ずるずると何かを引きずるような音が入り込んできて、訝しむより先に身体に振動が伝う。
「…オイ、なんの真似だ?」
見れば隣から持ってきた毛布に包まった悟浄が、先程と同じ位置に寄りかかっている。
「見りゃわかンだろ、寝るんだよ。」
「何の為に八戒が向こうで寝てると思ってんだ?」
「慣れるといいモンだぜ、床ってのも。」
理解の範疇を越えた行動と言動に、今度こそ本当に眠ろうと毛布を引き上げかけた時
そろそろホームシックにかかる頃合いじゃないかと思うの
「………」
……賭けようか。きっと
今夜辺りからまた煩く――…