第34話 華焔の残夢3
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あ~でもなく、う~でもなく。
「~」
夕食後、すぐに自室に引きこもってからどのくらいの時間が経過したのだろうか。
うずうず、ぐるぐる、もやもやと。
とにかく何かスッキリせず、落ち着かない。
ゴロゴロと広いベッドの上で寝がえりを繰り返す。
気になって、夕飯が半分も喉を通らなかった。
――お前でも、飯が喉を通らないなんてコトあるんだな
ふ、と頭と言うよりも耳に響いたからかいに跳ね起きる。
「――っ?」
肌に馴染むその感覚が霧散していく。
誰が
一体誰に、からかわれるというのか。
母は、あんなに心配してくれたのに――
「…なんだかなァ」
怒られたコトなど、ない筈なのに。
だけどあんなに優しく触れる指先にも、慣れていない…
それにいつも自分を見ていてくれた眼差しは、あんなに柔らかなモノだったか……?
「あーもうっ!昼間のあいつ等のせーだ!きっとそーだ!!」
がしがしと両手で頭を搔き回し、力任せに寝転ぶ。
「………なんて言ってたっけ……」
聞き覚えのない、変な名前。
「……なんだっけな~……確か…三文字だったよーな……」
見上げていた天井が、くすんだ黒から音がするように塗り替えられる。
雲が晴れ、月が出たのだ。
目にした下弦の月の冴え冴えとした輝きに、ひとつ瞬く。
「ごくう、だ…」
派手な赤い髪の男が口にしていたのは、そんな音だった。
「ごくう」ともう一度呟いてみるが、あの時のような動揺はなくただただ不可思議な音として響く。
――誰かに、呼んでもらえればあるいは
もう一度。
「誰か…」
ポツリと流れた呼びかけが、月明かりに浮かび上がる。
――
「誰か」