第34話 華焔の残夢3
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開ける前から不穏な空気が漏れ出でいた扉を押し開くと、大して音を立てたワケでもないのに店中の視線がこちらに向けられた。
そのただ中で見知った金髪が、緩慢な動作で振り返る。
「どうした。」
『………ご飯だよ。』
周囲を慮りながらそう言うと、ひとつ瞬いた三蔵が今の今まで銃口を突きつけていた男を一瞥し短く息を吐く。
「………」
そのまま店内を横切って進んでくる三蔵を呼び止める者は、ひとりもいない。
と、店の外の空気に触れるや否や大きく舌打ちが耳に届く。
「…あのガキのせいで散々だ」
『それ、昨日も言ってたよ。』
フンと鼻を鳴らして歩き出すのを、追いかける。
暮れなずむ、知らない町の夕の香り。
呼吸したそれに、ややあって嗅ぎなれた紫煙が時折混ざって流れる。
『……ちゃんと食べさせてもらってるかな、悟空。』
「…………知るか。」
『そろそろホームシックにかかる頃合いじゃないかと思うの。』
「………」
――聴こえるんだ
ずっと
心底嫌そうに言ったその顔を今でも、覚えている。
その時感じた、子供じみた想いも一緒に。
『……賭けようか。きっと今夜辺りからまた煩く――…三蔵?』
足を止めて振り返ると、深い夜の色をした双眸がこちらを見返してくる。
「……呼んだろう」
「お前も」と続けられた言葉に、喉の奥が比喩でなく、絞まる。
何のこと?
笑ってそう言うべきだ。
すぐに。
なのに
「俺を」
なのに。