第34話 華焔の残夢3
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次々と仕掛けられる攻撃に舌打ち、横にした錫杖で真正面から如意棒を受け止める。
「でも禁錮はついてますよ!」
ぎぎぎッ…と己の武器が軋む音を聞きながら、腕に力を込める。
が、やはり力が入りきらない。
頭の芯がぼやけたような感じは大分良くなってきたが、手足の痺れは寧ろ広範囲に広がっていくようだ。
この態勢でいる時間ももう、限界に近い。
「――っ…いい加減にしろよ悟空!」
とほんの一瞬、錫杖を押し返してきていた力がふっと分散する。
その隙を逃さず渾身の力をもって、悟空の体を如意棒ごと撥ね返す。
「悟浄っ!」
胃がひっくり返ったような嘔吐感と、内臓がせり上がってくる感覚。
――マジやべェ…って……
なんとか抑え込もうとしながら俯けていた顔を、上げる。
「……悟、空?」
呆けたような表情で動きを止めているのに、その名を呼ぶと
大きな金晴眼が僅かに揺れ、真っすぐにこちらに向けられる。
――[名前]だ
続けて呼びかけようと口を開く。
「伯葉っ」
余裕のない声が「伯葉っこちらへ」と呼ぶのに悟空が身を翻し、駆け寄っていく。
「悟空っ」
白く華奢な腕に抱かれた悟空が、八戒の声に僅かに首を捻るのが見えた。
「駄目よ、伯葉っ」
燃えるような眼差しでこちらを睨めつけた芙蓉が、叫ぶ。
「ここから立ち去りなさい!二度と来ないでっ!!」
一昨日も耳にしたガラスの割れるような音が木霊したと思った次の瞬間、大地が揺らぐ。
「今度は何だってんだ」
波打つ地面に、次第に大きくなる高く澄んだ音。
奇妙な浮遊感を持て余した数瞬の後、思考が、途切れた。