第34話 華焔の残夢3
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悟空の実年齢と外見年齢のうち、後者を選んだらしい悟浄の説明を補填すべく口を開く。
「もしかすると女の子の格好をしてるかもしれないんですけど…」
この言いようでは悟空に女装癖があると誤解されるかもしれないが、芙蓉が追及してこないのをいい事に、込み入った説明は省くことにする。
「金晴の眼で、茶色の髪の少年で…」
瞬間、女の纏う気配がガラリと変わり口をつぐむ。
彼女を包む空気が、まるで別人のように冷然と冴えていく。
ザァァ、と雨にも似た音を立てて木々が揺らめき、耳を圧する程に大きくなっていった。
「貴方達…」
笑みが掻き消え、人形じみて整った顔立ちの中でその眼だけが濁った光を放っている。
「また奪いに来たの?」
「また…?」
言われている内容を理解できないままに、向けられる感情の濃度だけが息苦しさを伴って増していく。
「ようやく戻ってきたあの子を…させない…――そんなことっ」
無意識に後ずさると、隣の悟浄も同じように一歩退いた。
「美人相手は苦手なんだよな…俺。パスしていい?」
「僕のことは遊びだったんですね?」
「ハァ!?」
「って、悟浄が女性を口説くたびに横で泣きついていいのならどうぞ。」
「…冗談に決まってんだろ。」
「無論、僕も冗談のつもりでしたよ。」
一歩一歩近づいてきていた芙蓉がふと足を止めるのに、眉根を顰める。
距離にして5m以上のその空間を吹いてきた風が、頬を掠める。
妙に生暖かく纏わりつくようなそれに怖気が奔ると同時に香る、甘い匂い。
「――悟浄息を止めて下さいっ」
「な――」
たおやかな白い腕が動き、その手から放たれた白い粉が風に乗った瞬間に視界が霞む。
むせ返る程に強くなった甘い香りの中、それに惹かれるように蝶のような生物が何十匹もいや、何百匹もどこからともなく集まってくる。
「なんだァ、これ…?」
大人の手を広げたくらいの大きさのその羽根が、極彩色の渦となって木々の緑を蝕んでいく。
「…っ」