第34話 華焔の残夢3
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「つーかさァ、なんか聞きたいコトとかないワケ?」
暫しの沈黙を挟んでからのそんな問いに、口元だけで笑って隣を見やる。
『…別に?』
派手な見た目や言動に、大きな図体。
それに中身が意外なまでに相反している事に気が付くのに、そう時間は要らなかった。
『どうしてもって言うなら、聞いてあげてもいいけどね。』
面白くなさそうに眉根を寄せたその顔が、次の瞬間に閃くような色を宿してこちらを見つめる。
「…そーだな。そろそろ俺のコトもっとよくっ」
腰に伸びてきた大きな掌を取って捻り、笑みを刷く。
『…この距離でも、充分聞こえるわ。』
「あだだだッ痛ェよバカお前っ」
涙目になって言うのに手を放し、立ち上がる。
『あ、そうだ。やっぱりひとつ聞いてもいい?』
「……なんだよ」
『今朝言ってた貴方のコト1番最初に振った美人て、お母さん?』
虚を突かれたような表情をただ見返しながら、『成程』と得心する。
色々あるのだろう。
それは全てを言葉で表すには時間も、そもそも適当な表現など見当たらないくらいに。
でも
「…だったら?」
こちらを測るような眼差しに、肩を竦める。
『別に?』
切れ長の深紅に映る自分はここからでは、あまりよく見えない。
『ちょっと妬けるなと思って。』
まあでも、これから知ってもらえれば良いと思う。
またも揺れたその瞳が、それ自体を恥じる様に
「…ハァ?」
あからさまに照れて再び眉間に皺を寄せるのに、思わず声に出して笑ってしまった。
割と可愛い事はもう、分かっているから。
『おやすみ。』