第34話 華焔の残夢3
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リビングにはすでに莉炯の姿はなく、三蔵がテーブルついて1枚の紙きれを見つめていた。
『悟浄もいる?莉炯が落としていってくれたよ。』
湯気の立つカップを三蔵の手元に置いた春炯に、首を緩く振る。
「持ってきてやったぜ。」
そう言って手にした毛布を差し出すと、ようやく顔を上げた三蔵が眉間に皺を寄せて口を開く。
「俺にここで寝ろってのか?ざけんな、お前が使え。」
「そー言うと思った。」
向かい合う椅子を選んで腰を下ろし、銜え煙草で紙切れを見やる。
手書きの地図――恐らく先程言っていた、他の犠牲者の家が示してあるのだろう。
「莉炯から何か聞き出せたのか?」
『家の場所以外は何も。』
「詳しい事は、各々聞けばいい。」
隣に座し、カップの淵に口をつけた春炯の言を引き取るようにした三蔵が、同じようにコーヒーに口をつける。
「なんか妙に積極的だよな。」
「このまま莉炯を放っておいたら、後が煩い。」
「ああ、バカ猿ね…」
立ち上がりながら応えた三蔵を見上げながら言うと、呆れたように見下ろす視線とぶつかる。
「お前が、だ。そっちは任せる。時間も好きにしろ。」
『分かった。』
事務的な程にそっけないやり取りの後、三蔵が踵を返す。
その背が扉の向こうに消える段になってようやく、ひとつ瞬く。
「………」
『………』
何事もなかったかのように隣でコーヒーを啜るのを見やりながら、思わず額に手をやる。
どうにも気恥ずかしい感はでも、不思議と嫌ではなく。
むしろ。
「……やっぱ俺にもちょうだい。」