第34話 華焔の残夢3
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「ところで、今日は誰がベッド使うんだ?」
「またカードで決めます?」
話が別方向へと持っていかれるのに口元を緩めながら、そう告げれば。
「お前が勝つの目に見えてンのにか?」
「別に他のものでも構いませんけど。」
莉炯がそのままにしていた姉夫婦の部屋を借りているのだが、当然の事ながらふたつしかないベッドを誰が使うかで、昨夜は大いに…と言う程でもないがそれなりにもめた。
無理をすれば2人で横になれなくもない大きさで、実際一度はそう提案したのだが。
「野郎と添い寝なんざ死んでも御免だ」と強く主張され、公平にカードで決める事になったのだ。
『私は莉炯と寝るから』
と早々に去っていく春炯を見送り、ひとしきりやんやした後の結果、リビングの椅子で寝たのは悟浄だった。
「…謹んで椅子で寝させて頂きマス。」
起き上がって軽く両手を上げるのに笑い、首を振る。
「冗談ですよ。」
三蔵が一度手に入れた権利を手放すとは思えないし、自分は賭け事であればまず悟浄に負けはしない。
とはいえいつ何時野宿になるか知れないこの旅で、2日続けて他人様のベッドで眠るのはさすがに気が引ける。
「今日は、僕が向こうで寝ます。」
「椅子で寝たい気分なンだよ。」
ブーツを履いて立ち上がった悟浄が、毛布を手に取る。
「ンじゃーな。」
「悟浄」
先程の三蔵と同じように肩越しに振り返ったその顔を、見つめ返した。
「三蔵は誰も救わないなんて言ってましたけど、そんな事ないと思います。僕と悟空。少なくともふたりは、彼の存在に救われてます。」
「…3人」とドアノブに手をかけたその背が呟く。
「3人にしとけ。」
増やされた数字の意味を読み取って、微笑む。
「――はい。」