第33話 華焔の残夢2
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莉炯の部屋の扉が開いた瞬間、隣に坐していた春炯が『くっ』と喉を鳴らして顔を背けた。
なんとか口をへの字に曲げて堪えようと試みるが、肩と腹の筋肉が震えて更に笑いが込み上げる。
「春炯っ!悟浄っ!!」
床を踏み鳴らした悟空の動きに沿って、スカートの裾がふわりと揺れた。
「――っギャハハハハハ」
「~なンっで俺がこんなカッコしなきゃなんねーんだよ、三蔵!」
「自分で言い出したんだろうが。莉炯の身代わりになると。」
「だからって、こんなカッコしなくたってっ」
「家を指定してくるくらいなんだ、当然そこの家の住人は調査済みなんだろ。」
「そんな恰好でもしなきゃ、一発で替え玉ってバレる」と新聞を捲りながら言う三蔵に、悟空が言葉に詰まる。
「だから最初っから、春炯にしておけとも言ったがな、俺は。」
『嫌よ、もう。お風呂入っちゃったし。ごめんね悟くう……』
声をひっくり返しながら顔を俯けた春炯に、悟空が泣き出しそうな表情を浮かべる。
「~!!」
「いーじゃねェか!似合ってるぜ悟空!本当に女だったら嫁にもらってやるのに……ククク」
「悟浄なんて死んでもイヤだっ」
どこにも誰にもぶつけようのない憤りが、再び右足に乗せられて床を蹴りつける。
「それ以上苛めたら可哀そうですよ、ふたり共。悟空だって、好きでやってるワケじゃないんですから。」
「八戒…」
「じゃあ悟空、コレを。」
目の前に差し出された、光沢のある細長い布に、悟空が怪訝そうに顔を近づける。
「…なにコレ。」
「リボンですよ。赤もいいですけど、そのピンクの服にはやっぱり白かなと思いまして。」
無言で見上げられた八戒が、満面の笑みで頷く。
「大丈夫です。僕、こう見えても器用なんで。可愛く結んであげますからね。」
「……楽しんでない…?八戒」
「そんな事ないです。」
「………じゃ代わってよ。」
「はい?」