第33話 華焔の残夢2
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沈黙に、踏まれた蛙が発するような奇声が響く。
「あー!もう!!」
「「『………』」」
「なんなんだよこれ…邪魔ッ、邪魔ッ、邪魔あ!!」
「なっ何なんだおまえ“ェッ」
戸口の向こうで人がまるで木っ端のように飛んでいくのが見え、扉を塞ぐように立っていた男の体が瞬きの間に視界から消えた。
「なー聞いて聞いて!俺さッ、いーコト思いついたんだ!!」
破顔した悟空の背後から顔を覗かせた八戒が、場違いな程に丁重な身振りで室内にいる男達に道を指し示す。
「とりあえず、お帰りはこちらです。」
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「…何だったんだアレ?」
「さァ…」と言いながらしっかりと施錠した八戒が、こちらを見やる。
「布団圧縮機の、実演訪問販売の方達…とか?」
「……ま、そんなよーなモン。」
『おかえりなさい。』
「ただいま戻りました。」
気の抜けるそのやり取りを聞きながら、再び椅子の背に手をかける。
「悟空」
「?何?」
そういやとうとう一度も腰を上げなかったなコイツ…
「他に言う事ないのか、貴様は?」
「…ただいま…?」
「じゃ、ねェだろ。何で飛び出して行ったか、よく考えろ。」
そう言われて、はたと思い当たった悟空が立ち尽くしている莉炯の元へと駆け寄る。
「莉炯、さっきはゴメンっ。」
勢いよく頭を下げられた莉炯が、慌てて首を振った。
「ううん!そんな…私の方が悪かったの。悟空さんが怒るのは当然だわ!」
顔を上げた悟空に、ほっと安堵の息を吐いたその唇が柔らかな弧を描く。
「でも……私は、それをもう一度、繰り返します。」