第33話 華焔の残夢2
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自分に比べ、一回りは細い腕に動きを制された男性が、目を見開いた。
「見りゃ分かんだろ、色男だよ。」
「――!お前っ…」
「なァんだー。よく見たら、さっき遊んだヤツも混じってんじゃん。また相手してくれるワケ?」
たちまち嗜虐的な笑みを閃かせたその横顔を見上げながら、背後の莉炯をそっと押しやった。
「離せっ…!」
悲鳴のような声に興ざめしたように肩を竦めた長身が鷹揚に立ち位置を変え、向こう側が完全に、見えなくなる。
「待てっ!俺達は話し合いにきたんだ!!」
「バカみたいに人数集めといて、よくそんなコト言えンな。厚顔無恥って言葉知ってる?」
「乱暴する気はない?“出来ない”の間違いだろ、言葉は正しく使え。」
からかうような悟浄の言いようを必死に耐えていた男性が、三蔵の嘲笑交じりの視線を受けてきつく拳を握り締める。
「ホラ、生臭ボーズの有難い説教だ。心して聞いとけよー、お前ら。」
『……話、聞いておく?莉炯』
収集がつかなくなる前に振り向き、こくんとその首が縦に振られるのを確認して。
前に立つ悟浄の服の裾を軽く引き、身体を開く。
「莉炯。あの妖怪の要求を吞まなければどうなるか、お前にも分かっているだろう?」
何かに耐える様に伏せられる、豊かな睫毛。
「お前の我がままで、これまでの犠牲を無駄にして、この町を全滅させる気か?」
抱き締められた耶昂がまるで、言葉を聞いているかのようにじっとこちらを見ている。
「力ずくが無理なら今度は泣き落としか?そうやって、5人6人ってやってる内に、そしてだーれもいなくなりましたとさ。なンてコトになったらお笑いだな。」
「余所者に笑われる筋合いはない!貴様、妖怪の味方か!?」
「いーや?莉炯の味方。」
そう断言した悟浄に、三蔵の両眼が僅かに細められた。
「な…んで……?」
「さァ?…なんでだろーな。」
思わずと言った風に口にした莉炯の口が、声を伴わずに動く。
どうして…?
その場を逃れる様に俯いた莉炯が何を思ったのか、分かるような気がした。