第33話 華焔の残夢2
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嬉しそうに言い放った悟空に、表情筋が固まる。
「あ~スッキリしたァ!」と晴れやかな笑顔で立ち上がって伸びをした悟空が、「あ」とこちらを見る。
「なあ八戒。何とかできないかな、莉炯と耶昂。」
「え……あ…ああ、そうですよね。」
停止していた思考をとりあえず呼び覚まし、頷く。
「この町を出るっていう方法もそれなりに有効でしょうけど…結局元を断つのが1番なんじゃないでしょうか。」
「つまり、人質を要求してるヤツをどーにかすれば良いワケだ。」
腕組をして暫し考え込む悟空を見ながら、先程の彼の言葉を反芻する。
無償の愛を与える側になりたいというのはつまり、どういう意味なのだろうか。
春炯が悟空に向けている気持ちは、まず間違いなく家族愛に近いそれだろうが、悟空の言う“愛”の種類が分からない。
というか、悟空と“愛”という言葉が結びつかな過ぎて、そもそも彼がその概念に対してどういう理解をしているのかが、全く予想出来ないのだ。
「………」
「そーだっ!」
ポンッと手を打った悟空が、顔中に笑みを浮かべる。
「ねェねェ俺、いーコト思いついたっ」
そのまま全は急げとばかりに身を翻して歩き出すのを追いながら、尚も考える。
これは要報告事項なのだろうか…
仮に報告したとして、彼の保護者が果たしてどんな顔をするのか見てみたいような気もする。
がしかしそれは、悟空のプライバシーを著しく侵害する事になるのではないか…?
「というか……泥沼になるとしても3人のつもりでいたんだけどなぁ…」
「八戒!」
と、飛び跳ねる様に軽やかだった悟空の足取りが、不意に途切れる。
「はい?」
「どっちだっけ?」
にこやかに問いかけてくるその顔と、その向こうのT字路とを、視界に収めて。
「………どっちでしたっけね?」