第33話 華焔の残夢2
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「そりゃあ…性格、最悪だけどさー……」
不機嫌と言うよりも、まるで自分が傷つけられたような顔で言うのに眉根を下げる。
「……いくら何でも、三蔵も生まれた時からああだったワケじゃないと思いますよ。」
とはいえ、あの徹底された性格は相当幼少期に形成されたものであろうとは思うけれど。
「…でもさ、いらないって言われたら嫌だよな。やっぱ」
「そうですね…。でも悟空。子どもを捨てる親は、そう珍しくもないんですよ。」
“人と妖怪が共存を果たす地”――桃源郷。
負の波動が西域から伝わる前でさえ、決して争いが皆無であったワケでない。
所謂弱者を絶対少数と切り捨ててこそ成り立つ理想郷の脆さや危うさは、切り捨てられた事のある自分自身がよく、分かっている。
「だから、考え方を変えるんです。」
「……へ…?」
利己的に
強引に
自分自身に、都合良く。
「三蔵の家族が三蔵を否定しなければ、今こうしてはいられなかったワケですよね?だとしたら、不謹慎かもしれませんけど、僕は、彼を河に流した人に感謝したいくらいです。」
それでも悟空に対して“良い大人”ぶろうとしている自分に内心で苦笑する。
捨てた方の都合など、知ったことか。
「それに、捨てる神あれば拾う神ありって言いますよね。」
「…え、っと…?」
「例え生まれてすぐ、その存在を否定されたのだとしても、僕にとって三蔵は必要な人です。」
それだけが事実。
当人がどう思っているのかさえ、どうでも良い。
「悟空にとっても、そうなんじゃないですか?」
じっ、とこちらを見ていた大きな瞳が徐に、自身の掌へと視線を移す。
ややあってきつく握り締められたそこに在る何かが目に、見えるようだった。
「………うん。」
真っすぐに向けられた肯定を受けて、微笑む。
「…じゃあ、戻りましょうか。皆心配してますよきっと。」
立ち上がって促すが、何故か続こうとしないのに首を傾げる。
「…悟空?」