第33話 華焔の残夢2
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「こんな所にいたんですね。」
「悟空」と柔らかく名を呼ばれたけれど、顔を上げる気にはなれなくて。
散乱した酒瓶の空きケースに視線を固定したまま、唇を噛んだ。
「…少しは落ち着きました?」
転がっていたケースのひとつをひっくり返した八戒が、言いながら腰掛ける。
「………」
薄闇に包まれ始めた周囲に満ちた沈黙に、声が響く。
――じゃあ…他にどうすれば良かったって言うの!?
教えてよ!ねえっ!!
痛みに満ちた、強い怒り。
傷ついて、苦しんで、惑っている。
でも、それは
「…あの河さ……泳ぐの、すげェ大変だったんだ…」
「滅茶苦茶腹立った。…あんなトコに……子ども流すなんて、ぜってー許せない…って……」
そうする事を自分で決めた、彼女のモノだ。
「悟空が感じている事は、正しいと思いますよ。」
それは、あの赤ん坊には、耶昂には全然、関係のない話だと思う。
「………」
「…でも、その怒りは本当に全部、莉炯さんに向けられたものですか?」
「違うんじゃ、ないんですか?」と重ねて問われ、目を伏せる。
自分の意志で捨てておいて、そこに痛みや後悔を感じるなんて
だから
許されるなんて
そんなワケ、絶対にない。
そんな権利なんて、ない。
「…なんで」
脳裏に浮かんだ、陽の中に浮かび上がるような後姿。
キラキラと輝く金糸の髪と白い法衣が眩しくて目を、眇める。
「なんで三蔵の親って、三蔵のコト捨てたんだろ…。」
――許すことなんて、出来ない。