第33話 華焔の残夢2
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痛まし気に柳眉を顰めた春炯が、少しの間をあけて言葉を紡ぐ。
『人質は、河に流せと言われているの?』
「町と森の間にかかる橋が指定の場所なんですけど、昨日の雨で一部崩されたり…流されてしまったんだと……思います。」
成程指定された場所というのは、途中通ってきたあの崩れそうな橋の事を指すのだろう。
耶昂は、許容量を越えて橋の上を溢れた水と一緒に流され、悟空に拾われたのだ。
「前に人質にされた方達は、どうなったんですか?」
半ば確信に近い予測を、「誰も戻ってきませんでした」と消え入りそうな声が上書く。
「…話は大体分かったけどさ、何でよりによってあんな小さい子ども人質にしたんだよ?」
悟浄の手を押し上げるようにして身を起こした悟空の口調は、先に比べて激しいものではない。
彼なりに感情をコントロールしているようだがそれでも、どうしても濃くなるばかりの非難の色は隠しようもない。
「家族の中から1人だろ?皆であの子に押しつけたのかよ?なんにも分かんないような子どもにさ」
莉炯の瞳が傷ついた色に染まり、嚙み締められた唇が白くなる。
「悟く「それって最っ低じゃんか!アンタ、それで平気だったのかよッ!?」
「――平気なワケないでしょうッ!?」
刹那、憎しみさえ込めて返された視線に、悟空がたじろぐ。
「私が人質になってあの子が助かるのならそうしたわっ…でも…!そうしてもどの道耶昂は生きられない!私がいなくなったら、誰があの子を育てるのっ」