第33話 華焔の残夢2
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「ここですか?」
「そっ、そうだ!」
「本当に?」
「ほっ、本当だ!だからもうッ、離してくれっ!!」
「あぁ、そうでしたね。」
後ろ手に捻り上げていた腕を、解放する。
バランスを崩してそのまま膝から崩れ落ちた男性が、地面に片腕をついた瞬間、くぐもった唸り声を漏らして地に伏した。
「あ、多分骨折れてますから、無理しない方が良いですよ。」
脂汗を滲ませた顔にそう声をかけると、苦鳴交じりの悪態が返ってくる。
もがくように起き上がった男性がそのまま駆け出していくのに、口を開いた。
「無理せず、お大事にー!」
「悟浄、俺…八戒が怖い…」
「今更何言ってんだ。俺なんて3年と18日、15時間26分5秒前から知ってたぜ。」
くるりと振り返ると、悟空と悟浄がびくっと体を震わせた。
「彼の腕を折ったのは、悟浄でしょう?」
「…折ったのは、な。」
口元をひくつかせながら明後日の方へと視線を逸らすのに、首を傾げる。
「お前ね。せめてあーゆー場面で笑顔は止めとけ、笑顔は。」
「どうしてですか?僕は場を和ませようと思って…」
「和むどころか凍りつくっての。見ろ、バカ猿でさえ怯えてるじゃねーか。」
「それくらいにしておけ。」
痺れを切らしたように割って入ってきた三蔵と、その隣の春炯見やり、二人の背を押すようにして歩き出す。
「ホラ、行きましょう。僕なんかより、よっぽど怖い人が呼んでますよ。」
こじんまりとした民家の立ち並ぶ一角。
男性が指し示していったその家も、他の家々と比べて特に目立つところのない“普通の”一軒家だった。
「とっととそのガキ、突っ返してこい。」
玄関扉の正面に立っていた三蔵が、位置をずらして促すように悟空に道を示す。
「………」
なかなか足を踏み出そうとしない背中に唇が緩む。
さて、どうしたものだろうか。