第33話 華焔の残夢2
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「悟浄、悟空。お前ら二人で片付けろよ。」
三蔵が紫煙を吐き出しながら言うと、何処か楽し気にしていた切れ長の眼がこちらを向く。
「ちょっと待てよ。自分ばっか楽しよーってか?三蔵。」
「喧嘩を売ったのはお前らだろうが。」
「向こうが押し売りしてきたんだぜ。見てなかったのか?」
「だからっていちいち買ってやる必要が何処にある?お前らが負けたら、動いてやってもいいがな。」
「二人とも、それぐらいにして下さい。」
当の売主達を尻目に、たちまち剣呑な雰囲気を醸し出した二人に、八戒が割って入った。
「ホラ、先方もお待ちかねですし。春炯。」
手招きされるのに従って動くと同時に、三蔵が、側を追い抜いていく。
「…どけ。」
横幅で言えば、三蔵の倍はありそうな男性の足元で、じゃりっと砂が音を立てた。
「聞こえなかったか?」
再び短く繰り返された命令に、大柄な体がややあって横にずれる。
その背を追い、生じた隙間を抜けて包囲の外へと出てから振り向くと、呆気に取られたようにしている男性達のその向こうで悟空と悟浄が、彼等と大して変わらない表情でこちらを見ていた。
「あ、どうも。お待たせしました。」
にこやかに軽く目礼した八戒に、両者の戦意が若干削がれたのが手に取るように伝わってくる。
「…まぁ、アレだ。買い物は分割払いなんてけち臭ェ事言わずに一回払いってのが俺の主義なんで、手加減なしで行かせてもらうぜ?」