第33話 華焔の残夢2
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基本的に目立つのだ。
勿論、良し悪しは別として。
ぎゃんぎゃんと往来で、言い合いというには控えめすぎるやり取りを始めるのを見ながら息を吐く。
まずもって、沈む陽を吸って深みを増した紅の髪も、夕日すらはね返して輝く金糸の髪も、この西国では滅多にお目にかかれるものではない。
そんな大の男ふたりが、明らかに年下の悟空と同レベルでじゃれあい…と言うより度突き漫才を始めてしまえばそれはもう、大道芸人ばりに人目を引く。
更に極めつけは、そんな彼らをのほほんと見守っている八戒というこの、図。
『……ねえもう行こ「だぁからッ」
右手をきつく握りこんだ悟空と、自分の意識がそちらへ向いたのはほぼ同時。
一瞬遅れて三蔵と悟浄、八戒が微かに空気を変える。
「…お出迎えってか?」
「にしても大勢ですね…」
八戒の言う通り、ざっと10人は下らない。
夕日を背にして近づいてくる集団の年齢層には、大分バラつきがある。
「ムサイ野郎ばっかりのトコを見ると、歓迎セレモニーってワケじゃあなさそうだな。」
「これがこの町の歓迎だったりしてっ!」
嬉々として告げる悟空に、悟浄が大げさに肩を落とす。
「勘弁しろよ…」
『もしそうだとしたらどうする?』
「お前ああいうムキムキな感じなのがいいの?俺はパスだわ。」
「まぁ、話を聞いてからでも遅くはないですよ。向こうに話し合う気があればですが…」
5m程の距離を開けて、男達が歩みを止めた。
不穏な気配を隠しもせず、乱闘に持ち込むには充分な間合い。
いざという時は実力行使も辞さずかつ、絶対に逃がしてはくれなさそうな決意を察してさり気なく一歩引く。
こういう時の外交は専ら、八戒に任せるに限る。
他3人は問題外だし、自分が女だとバレるとまた輪をかけて面倒な事になるかもしれない。
「僕たちに何か御用でしょうか?」
意を汲んでくれたらしい八戒が、人好きのする笑みを刷いて問う。
「お前たちは、あの妖怪の仲間か?」
中央に構える強面の男性が、悟浄よりも頭ひとつ分高い位置から尋ねるのに、八戒が怪訝そうに眉を顰めた。
「…あの妖怪って、どの妖怪です?」