第33話 華焔の残夢2
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「どーなってんだよこの町は…」
ピリピリとした視線が肌を刺激する。
刺す、という程キツイものではなくどちらかと言えばねっとりと、絡みつくようなそれ。
心なしか身体を竦ませた春炯が、道の両側から距離を取る。
町に足を踏み入れる前に、徐にフードを被るのを訝しく思ってすぐから、この状態。
「やっぱあのじーさん捕まえて聞いとけば良かったんだ。」
乳児を抱えた悟空もほぼ同時に我慢の限界を越えたようで、不快感を露わに口を尖らせた。
森から渡された橋を渡り切って暫くして行き合った、ひとりの老人。
こちらを見るなり驚愕の表情を隠しもせず逃げるように町中へと去っていったあの男が、恐らく自分達の来訪を告げたのだろう。
常であれば、日も暮れかかったこの時間帯は最も賑わいを見せているだろう食料関係の店ですら、軒先に客はおろか店の人間の姿も見えない。
だが、人の気配と押し殺した息遣いは確かに感じる。
建物の隙間に、扉の向こうに、物陰に。
「なんか、すごく警戒されているようですね僕ら…」
「なら、期待通りひと暴れして差し上げるのが礼儀ってか?」
『悟浄』とたしなめる様に呼んだ春炯の声にかぶせて、辺りからガタガタと幾つか音が上がる。
たまたま悟浄の視線とかち合った人間達が身を竦ませたり、後ずさった動作の付属音だろう。
舌打ちする気分もまあ、分からなくもない。
「見世物小屋の珍獣じゃねーんだぞ。」
「それ、あまり説得力ないですよ悟浄。」
「なんで」
「バカ猿にエロ河童、確かに珍獣だな。」
「悟浄はともかくっ、なんで俺まで入ってんだよッ」
「バカ猿の分際でともかくってなんだ、ともかくって。それに三蔵、生臭ボーズはヒト科の突然変異だろーが。」
「ああ”?」
「いえ、僕が言いたいのは…」