第33話 華焔の残夢2
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結界に閉ざされた森を抜けると、目の前は河だった。
森と町。
両者を隔てるように流れているそれは、先に見た河の流れの半分も幅のない小さな河だが、多分ひとつの流れなのだろう。
橋はかかっていたのだが、ジープで通れるものではなかった為皆で降車し、歩いている。
「なんか、今にも崩れそうだな。」
怪しく陥没した床板を避けた悟浄の呟きを聞きながら、ところどころ、ささくれ立った手すりを見やる。
これも昨日までの豪雨が原因なのだろう。
「結構広い範囲で土砂降りだったみたいですね。」
と、肩にジープを乗せた八戒が多量の湿気を含んだ景色に手をかざして首を巡らせる。
『一晩中だったもんね…』
絶えず響いていた雨音を思い出しながら言うと、隣から視線を感じた。
「眠れませんでしたか?」
『ううん。でも、何度か起きた。』
だから、隣で寝ていた三蔵が、何度か起きて煙草を吸いに行っていたのを知っている。
相変わらず雨の夜はあまり好きではないようだが、それでも以前程ではないようなのを認めてからは、朝まで眠ったけれど。
我関せずといった風に前を行くその後姿に知らず、口元が解れる。
人は、簡単には変われない。
でも
変わるのだ。
確かに。
「…僕もです。悟空の鼾と、悟浄が煙草を吸いに行くのが気になっちゃって。」
『分かる。私、八戒と二人の時が一番よく眠れるもの。』
ただ残念な事に、三蔵が悟空と悟浄と同室なのを嫌がるので頻度としては、それ程高くない。
「……僕もです。」
何故か先ほどよりも長い間を置いて返ってきた返答に、笑う。
『本当に?』
「…ええ、本当に。」