第32話 華焔の残夢1
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「……悪…ィ…」
胃の腑にわだかまった何かを吐き出すような深く、長い呼吸。
そこに紛れ込んだ、聞こえるか聞こえないかの呟きは恐らく、春炯の耳にも届いだだろう。
キ――――――ン
「………」
訪れた沈黙を割って降ってきた、硬質な高音。
辺りを木霊のように連続しながら満たしていくのを聞いていると、木立の中から、八戒が姿を現した。
空を振り仰ぎながらこちらに歩み寄ってきて手を翳すのを横目に、首を鳴らす。
「…これって――」
「お前じゃねェなら悟空だろ。」
『思ったより、早く片付いたね。』
先ほどの事など、なかったかのように微笑した春炯がこちらを見る。
「……ああ。」
「良かったですね。これでお望み通り、ベッドで眠れますよ悟浄。」
「…ベッドで寝れても、子連れじゃ女引っかけらンねェんじゃなかったっけ?」
悟浄の言葉に、不思議そうにした八戒が困ったようにこちらを、ついで春炯に目を向ける。
益々困惑を濃くして戻ってきた視線を受け止めた悟浄が、浅く哂ってそれを流す。
「客観的に見て、親子って思うよな」
「コレ」と示された方を見やった八戒の顔に浮かぶ表情がやがて驚愕へと、変わっていった。
あとがき