第32話 華焔の残夢1
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正反対の表情で、同じ言葉を吐くふたりに喉奥で、笑う。
「昔の夢、見たんだよ。」
底の見えない濃い紫と、澄んだ黒の双眸が、問いを含んでこちらを見上げる。
「俺の事、一番最初に振った美人のな。」
「くだらねェ」
一方には鼻で笑われ、もう一方には深いため息を吐かれた。
「……何がおかしい」
最早興の失せたらしい春炯が、赤ん坊を抱いたままジープから降り立つ。
「別に?ただ、三蔵だなーってな。」
なかなか収まらない笑いに、三蔵の訝し気な眼差しが呆れに変わっていく。
「…悟空に絡むのはよせと言ったが、代わりに俺に絡めと言った覚えはない。」
「俺とお前の仲だろ?」
「どうしてもと言うなら八戒かそいつにしろ。それなら止めねェ。」
『嫌よ、私は。』
抱きっぱなしで疲れたのだろう。
ぐるりと首を回した春炯が、助手席側のドアを開け、丁重にシートに赤ん坊を横たえた。
「…お前ね。っつーか、俺が口で八戒に勝てるワケねーだろ。さっきだってこのガキ、俺の子じゃねェかって疑いかけられたんだぜ?」
「100%否定できる身分じゃねェだろ。」
「あいつとおンなじ事言うなって…ったく、どこが似て――
『ッ』