第32話 華焔の残夢1
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『八戒』
この面々にしては驚異的な静けさを保ったまま走っていたジープが、緩やかに減速していく。
『……止めて。』
「次は何をすればいいんですか?」
体ごと向き直った八戒が、三蔵とこちらとを交互に見やった。
「この周辺に鍵になってる物体がある筈だ。それをみつけて壊しゃ、出られる。」
「鍵、ですか…?」
「こういう場合に鍵として使うのは、光を反射したり姿を映したりするものだ。大概、銀、ガラス…鏡のどれかで、拳大の円形をしてる。」
「分かった俺行ってくる。春炯こいつ見てて。」
『えっ、いいけど悟空だったら私が――』
尻すぼみに言いかけた言葉が消えるか消えないかの内に、悟空の背中が木々の間に紛れていく。
「…よっぽどお腹空かせてたんですねぇ…」
「さしずめ売り文句は、【スピード吸収、素早く消化】ってか?お買い得だったな三蔵。」
「欲しけりゃ熨斗つけてくれてやる。」
「いらねーよ。悟空だって嫌がるだろーしな。」
言いながらジープを降りた悟浄が、煙草を銜えて三蔵を見下ろす。
「あの猿は、俺じゃなくて誰かさんがいーんだと。」
暫く悟浄を見上げていた三蔵が、ふん、と気のなさそうに鼻を鳴らすのに、笑った。